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ゼロからはじめるグリーンインフラ


2018年の日本は歴史的な猛暑に見舞われました。

しかし、昨年まで猛暑関連のニュースで、たびたびヘッドラインを飾っていた、とある地方都市の名前が、今年はニュースで取り上げられることがなくなっています。

 それは館林市です。

 こうした背景には、気象庁によるアメダス(地域気象観測システム)の移設という直接的な原因が関係しています。アメダスの移設に伴い館林市は「日本一暑いまち」としての称号を失ったわけですが、これは「環境を変えること」の重要性を一方で示唆しています。

 パリ協定などを通じ、世界が気候変動対策に乗り出すなかで、「日本一暑いまち」というキャッチフレーズは館林市にとって、はたして名誉なことなのでしょうか?

 2015年に合意されたパリ協定では、「世界の平均気温上昇を2度未満に抑える」という全体目標として掲げられています。

 そのために、全ての国が、排出量削減目標を作り、提出することが義務づけられ、その達成のための国内対策をとっていくことも義務付けされました。

 また、国連は同年、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を採択しました。その中核をなすのが、世界が達成すべき17ゴール・169ターゲットからなるSDGs(持続可能な開発目標)です。SDGsは、環境・経済・社会に関する社会課題の解決を目指すもので、あらゆるステークホルダーが力を合わせて取り組むことが求められています。

 日本においても、2016年5月の閣議決定により「SDGs推進本部」を設置、「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」を策定し、日本経済団体連合会も17年に企業行動憲章を改定し、SDGsへの取り組みを積極化しています。

 しかし、国内ではSDGsについての理解、具体的な取組方法等が十分に進展しているとはいえません。

 元世界銀行チーフエコノミストのハーマン・デイリーは持続可能な発展として、(1)再生可能な資源は再生できる範囲に、(2)再生できない枯渇資源の利用は代替物が開発される範囲に利用する。(3)汚染物質の排出は地球の浄化能力の範囲に留め、そして(4)経済の成長はエコシステムの許容力の範囲内で最適化すべきと定義しています。

 実際、気候変動による被害は、着実に世界中で広がっています。

 干ばつ、異常気象、海面水位の上昇、感染症の拡大、生物種の絶滅など、例を挙げればきりがないでしょう。

 その被害を真っ先に受けるのは後発開発途上国と呼ばれる貧困層を多く抱える国々ですが、日本も決して例外ではありません。日本では近年、温暖化の影響で「猛暑」や「水害」といった自然災害は、わたしたにとっては「日常」になりつつあります。

 また、気象変動は環境や自然に対する影響にとどまらず、人間の行動にも大きく影響があるという研究結果もあります。

 例えば、「魔女狩り」として世界に衝撃を与えたタンザニアでおきたアルビノ(白皮症)に関連した殺人事件は、干ばつや異常気象に関連しているとするデータもありますし、ローマ帝国の崩壊にも気象変動が関係したとする説もあるようです。

 カリフォルニア大学バークレー校のソロモン・ジアン准教授などの研究チームによると、気候変動による熱波の影響で、米国・メキシコ地域での自殺者数は2050年までに9000人から4万人ほど増えると予想されています。

 こうした世界規模の大きなテーマに私たち個人ができることは大きくないのかもしれませんが、普段の生活に関係ないからと無関心でいいのでしょうか?

 地球をすり減らした代償が今の異常気象を生んでいるということは皆が気づいているはずです。

 今回私たちが立ち上げた「ジャングルデリバリー」というグリーンインフラ事業は、私たち一人一人ができることを模索し、個人の力を結集することで、世界的なリスクにチャレンジすることを最終目標としています。

 ヒートウェーブ問題を解決するべき社会課題と考え、日本一暑い街と言われる館林市各所において実証実験の一環として気温を計ってみたところ、真夏で最高で3℃程の気温差があることがわかりました。緑化の少ない館林駅周辺が最も気温が高く、県立美術館近くの林の周辺が最も低かったことから、「緑化を推進することで環境は変えられる」との思いを強くしました。

 日本は豊かな水資源によって育まれ、森林が国土のおよそ70%を占める森林国家です。しか、山にある樹木は市場価値が低いため、残念ながら放置され荒れているのが現状です。

 そこで、私たちは、耕作放棄地を使うことで平地しかない館林で樹木を大量に生産する計画を立てました。

 例えば、森林比率が30%台のスペインやイタリアでは、2000年の樹齢を誇るオリーブが何本も生きて、今でも果実を実らせています。私たちは花が咲き果実が実るような価値ある樹木を館林で大量に生産し、館林の緑化を進めていきます。

 世界規模で進む温暖化という問題に対し、私たちが個人として持っている力は、ささいなものかもしれません。しかし、一人一人が行動を起こすことで、いずれ大きな力になると、私たちは信じています。

   地球環境を壊したのが私たちであるならば、持続性ある地球環境へと修復する義務を私たちは背負わなければなりません。

 かつて「日本一暑い街」と呼ばれた館林市にいるからこそ気づけた社会課題、森林のない館林市にいるからこそ気づけた課題解決のアプローチ ー ジャングルデリバリはー、館林でゼロから始めます。

 ジャングルデリバリーには夢があります。

 館林市は北関東の中心に位置し、首都圏への物流アクセスにも優れています。また、都心に通勤できる距離でありながら、自然に恵まれ物価が安いのが特徴です。

 ジャングルデリバリーは、フェーズ1で移動距離40分程度の近隣都市を対象に私たちが育てた「ジャングル」のデリバリーサービスを開始します。そして、フェーズ2では、移動距離1時間程度の首都圏へサービスエリアを拡大していきます。さらに、フェーズ3では、海外進出をします。

 その時には北関東全域の耕作放棄地が私たちの樹木畑に変わっていることでしょう。

 北関東の耕作放棄地を樹木畑へと転換する意味を想像してみてください。 

 ジャングルデリバリーは単に緑化を進め、「ジャングル」をデリバリーするだけのプロジェクトではありません。

 ジャングルデリバリーの事業は様々な社会課題の解決に向けた取り組みであるべきと考えています。そうは言ってもしっかりと収益を上げなければ、設備投資や雇用ができず長続きしませんので、株式会社として確実に儲けを創造しつつ、下記の事業領域への再投資を行います。

1. 離農により増え続ける耕作放棄地の再活用
2. 農業機械故障から離農を余儀なくされる農家への農事サービス
3. 一大樹木生産地として魅力ある風景の創造と新たな観光資源
4. 産学官協働によるIoT(モノのインターネット)を活用した地域貢献
5. 高齢者や障がい者らの社会参画の受け皿
6. 地域ブランド力を高めるための輸出(館林のイタリア化計画)
7. アグリツーリズムをしかけた館林移住者の促進
8. 千年後の子孫へのプレゼントとなる様々な果樹園づくり

 ジャングルデリバリーを主要なプラットフォームとし、地域活性化、豊かな多様性を受容するまちづくりに貢献できるエコシステムを構築してきたいと考えています。

 地球上で進む緑の減少を、私たちが生み出す緑で補いたい。私たち、ジャングルデリバリーは、そんな想いをみなさんと共有したいと考えています。